記念式典のページへ戻る >>
本日は、慶應義塾体育会柔道部創立125周年、誠におめでとうございます。心からお慶びを申し上げます。 125年、ひとくちに申しますけれども、大先輩、先輩、そして現役諸君、歴史と伝統を脈々と受け継がれてこられた関係者、OB、OG各位に心から、むしろ慶應義塾を代表して、深く感謝を申し上げたいと思います。 慶應義塾は福沢諭吉先生が1858年に開かれた学塾でありますけれども、柔道部はその中にあって、1877年、明治10年に、日本の学生スポーツ界最古の部として創立され、今日までもちろん皆様はじめとして多くの方々のご尽力によって、日本の学生柔道界のみならず、日本全体の柔道界、そして世界の柔道界をリードしてこられたわけであります。 福沢先生が、「慶應義塾は全社会の先導者たらんことを欲するものなり」というふうに言い切られた、その先導者としての役割を柔道の世界において担われてきたのが慶應義塾体育会柔道部である、と認識をしております。 柔道部の昔の写真には、福沢先生が写っておられるのがいくつもございます。いくつかの写真を最近拝見したのでありますけれども、昔の柔道部の方々の面魂といいましょうか、心と身の総合したその柔道の世界をつくり上げてこられた原点の方々の写真を拝見をいたしまして、先ほど森部長が言われた「心身之順是柔道」という福沢先生が残された言葉、福沢先生の教えを胸に刻まれて柔道部が歩んでこられた125年の道のりというものを、改めて実感した次第でございます。その道のりというのは、皆様もちろんよくご存じのように、明治30年の頃、たとえば明治35年に早稲田大学との対抗第1回戦が行われましたけれども、早稲田大学のみならず、他の大学との覇を競いながら学生柔道が開花した時代、あるいは昭和の初めの天覧試合において、阿部英児大先輩が大変な活躍をされた、慶應義塾体育会柔道部の気品と潔しさがにじみ出たその時代、あるいはさらに、たとえば羽鳥輝久先輩や、今日ご列席なっておられます、三田柔友会名誉会長の水谷英男先輩の活躍された昭和10年代から20年代、全ての皆様の名前を申し上げるわけにはいきませんので、例としてお考えいただければと思いますけれども、その道のりを振り返って名前をお挙げすると限りなくたくさんの方々のお名前が思い浮かんでまいります。もちろん、戦後復興期、柔道部が困難な道を歩んだということは、誰もが知っていることでありますが、それを乗り越えられて、渡邊明治三田柔友会会長を始めとするメンバーが慶應柔道の復活を成し遂げた時代もございました。さらには、今日ご列席の石川忠雄元塾長が全日本学生柔道連盟の会長に就任をされまして、慶應義塾の柔道また学生柔道界の発展に寄与された、そういう時期もございました。。125周年を記念して、石川元塾長の言葉が三田綱町の道場に掲げられると伺っておりますが、すばらしいことだと思います。 歴史を私なりに辿ってみればきりがないのでありますけれども、今日のテーマ、創立125周年のテーマというのは、「125年・・感謝そして未来」ということであります。これは、極めて的を得たすばらしいテーマであると思います。たとえば、感謝ということで申し上げれば、昨年、堀内義太郎先輩が亡くなられたと伺っておりますけれども、堀内先輩のご寄付によりまして福沢先生の肖像画が三田、日吉、あるいは藤沢、あるいは日吉の高等学校志木校普通部、そしてニューヨークにありますニューヨーク学院高等部にも柔道場がございますが、それらのところに掲げられると伺っております。また慶應義塾体育会柔道部また三田柔友会の皆様のご尽力によって、柔道祭、あるいは慶應杯の色々なイベントを通じまして、慶應義塾の柔道に興味を持つ学生のみならず、日本全国の高校生、中学生に至るまで、学生柔道の発展というのは揺るぎないものになってきていると思います。 「125年・・感謝そして未来」ということの未来のほうでありますけれども、先ほども森部長が言われましたように、「先成獣身而後養人心」。慶應義塾体育会柔道部現役の諸君が、この「先成獣身而後養人心」ということを思って未来を開いていっていただきたい。それをぜひ、三田柔友会の皆様、柔道部関係者の皆様にご支援をしていただきたいというのが、私のまず第一の念願でございます。未来というのは、そういうことによって、第一に開かれると思います。そして、第二に慶應義塾体育会のあり方ということについて、やはり最近の社会の風潮その他色々なことが重なって、慶應義塾におきましても学生の体育会離れということが、多少進みはじめているように思われますけれども、やはり私は、陸の王者慶應の復活ということが、第二に申し上げたい、皆様へのむしろお願いでございます。陸の王者慶應の復活を目指して、私どものほうも努力をさせていただきますので、三田柔友会の皆様、柔道部の皆様におかれましては、ぜひその意味でも体育会をご支援いただきたい、と願っております。 三田剣友会の橋本龍太郎会長もご列席になっておられました。もちろん柔道部のみならず、剣道部を始めとする他の部もそうなのでありますけれども、慶應義塾の精神独立自尊の精神というのは、体育会によって体現されると思います。柔道部を筆頭に、体育会剣道部を始めとする多くの部によって、これからますます体現されていくべきものだと思っております。この、多様化した社会の風潮の中で、背骨のしっかりした、気骨の通った慶應義塾全体の学生諸君の範となるような、そういう学生が柔道部から出て欲しい、と念願しておりますし、おそらくそれが柔道部の未来を形づくっていくのではないかと思っております。 多少、申し上げ過ぎたかもしれませんけれども、創立125周年ということでお赦しいただければと思います。私が慶應義塾体育会柔道部また三田柔友会に期待するところを申し上げました。 慶應義塾も144年目を迎えまして、これからまた21世紀、新たな発展を期しております。その中にあって、再々でありますけれども、体育会そして体育会柔道部の役割というのは、改めて大きな意味を持ってくると思っております。柔道部が、125年の歴史と伝統を踏まえて、大先輩の皆様、先輩の皆様のつくられてきた道をさらに大きく、新しく作っていく。これが「125年・・感謝そして未来」ということの中の未来ということではないか、と思います。私は、慶應義塾体育会柔道部また三田柔友会に対しまして、125年の間慶應義塾のために貢献をいただいてきた、慶應義塾のバックボーンをつくっていただいてきた、ということに改めて感謝を申し上げますとともに、その「125年・・感謝そして未来」、未来の方につきましては、やはり今申し上げましたように、柔道部の未来とともに慶應義塾の未来に対しましても、ぜひご支援、ご指導を願えればと念願する次第でございます。柔道部のこれまでの歩みに、改めて深く感謝を申し上げ、また新たなる125年以降の未来の始まりのお祝いと、柔道部の今後ますますのご活躍ご発展と、それから三田柔友会の皆様のますますのご活躍ご多幸をお祈りいたしまして、私のお祝いのご挨拶とさせていただきます。おめでとうございました。 記念式典のページへ戻る >>
|