「コミュニケーションを再構築し、学生を支援しよう」
對馬 好一(昭和51年卒)
三田体育会の奈藏稔久前会長(三田空手会会長)から後任指名を頂き、常任理事会、理事会のご承認を得て、令和6年10月23日の総会をもって三田体育会会長に就任いたしました。体育会各部と各部先輩団体の活動をお支えしていく所存ですので、三田柔友会会員の皆様にはご支援・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。
平成26年に稲田新先輩(昭和45年卒)の後任として、当時の西岡浩史会長(三田倶楽部=野球部先輩団体=元会長)から副会長にご指名頂いて以来、10年間にわたり西岡、奈藏歴代会長のご指導を頂いてきました。昭和24年の三田体育会設立以来、75年間で9人目の会長就任ですが、三田柔友会からは初めてです。今総会から加盟した応援部三田会を加え、先輩団体の数は44団体、会員は約2万9000人が所属しています。皆様ご承知の通り、三田柔友会はその中で1番古い加盟団体です。
令和2(2020)年に予定された東京オリンピック・パラリンピックは翌年に無観客で開催されましたが、今年4年生になる体育会各部幹部学生が入学した令和4年はまだ、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている真っ最中でした。コンタクトスポーツの代表格である柔道部はもちろん、各部とも練習や試合がまともに実施できない状況が続いていました。数年間続いたコロナ禍の中で、たった4年で卒業する部員諸君は、部活動の本来のあり方、スポーツの楽しみ方を知らないまま過ごす不安を感じ、その影響をいまだに引きずっています。
今日、各種規制はなくなっているとはいえ、この数年間で、部員相互、各部先輩団体と現役部員間、体育会各部相互、各部先輩団体相互の縦横斜めのコミュニケーションが失われ、各部の経験の共有が途絶えてしまいました。各部部員、指導者たちは部活動の再構築、いや、新たな部の建設に暗中模索しています。慶應義塾体育会規則、三田体育会規約の規定で、現役の活動への協力を任されている私たちOB、OGには長年の経験を現役や未来の部員に伝承する義務があります。中でも最古の三田柔友会では148年にわたり柔道部が積み上げてきた様々な経験を後輩たちに伝え、新生柔道部の創造をお手伝いし、体育会各部を牽引していかなくてはなりません。
伊藤公平慶應義塾長・体育会会長は現役部員たちに「祝福される勝者たれ」と諭されています。明治10年、和田義郎幼稚舎長に指示して日本の学生スポーツの先駆けとして柔道部を最初に作った福澤諭吉の「社会の先導者たれ」との教えのもと、慶應体育会らしい気品に満ちた雰囲気と意識を持った部員の育成を目指しています。三田体育会ではその考えに賛同し、特別委員会として「塾風委員会」を設置し、昨年、答申を得ました。その答申内容の具体化の1つとして開設した「塾風未来トーク」では、毎月、若手を中心に各部OB、OG数十人が自由に集まり、部員の指導方法、部や先輩団体の運営方法、財政のあり方など、様々なテーマで意見交換し、コミュニケーションをとって各部先輩団体のいいところ、悪いところを学びあって、協力関係を構築しています。残念ながら、三田柔友会会員の参加は今のところ、少ない状況です。一方、体育会各部監督は、これまでの年1-2回の体育会主催の監督会議に加え、LINEなどを活用し、自主的に緊密な情報交換を始めました。
ここ数年、各部では残念ながら部員による色々な不祥事が起きましたが、こうしたコミュニケーションの円滑化を進めることにより、しっかりとした部活動を支え、学生たちに豊かな体育会生活をしてもらいたいと考えています。私自身は各部先輩団体の会員たちと一緒に、各部早慶戦応援や各部周年行事、祝勝会などに積極的に参加し、親睦ゴルフ会を開催するなどして各部部員や先輩団体会員との交流を深めています。
三田柔友会会員各位には、こうしたことをご理解のうえ、我が国学生スポーツのルーツである慶應柔道部が再来年、令和9年に迎える創立150周年を前に、三田体育会活動に少しでも参加し、学生の活躍を見守って頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。



