2022年度を振り返ってみれば、昨年・一昨年度に続き、コロナ禍による活動制限の影響で学生は未だに普段通りの稽古や試合ができなかった1年でしたが、規制が徐々に緩和される中、部員諸君はそのときどきの状況に応じて最大限の努力を重ね、数々の課題に懸命に取り組んでいく姿がとりわけ心に残りました。

早慶戦では、男子4連覇・女子2連覇はいずれも惜しくもかないませんでしたが、チーム杉村・石川両主将以下の幹部学生の強いリーダーシップおよび部員一人ひとりの高い意識が、柔道部に今年度も新たな成長をもたらしたのだと感じました。学生の執行部として大いに活躍していた杉村主将も小野主務も、私のゼミ生でもあったことを、大変誇らしく思います。

そして、部員の日々の弛まざる厳しい鍛錬が、全日本学生柔道優勝大会女子3人制での準優勝という、柔道部の歴史に残るような輝かしい戦績に見事に結実しました。このような快挙も部全体の成長も、ひとえに、学生を常に献身的に支えてくださったOB・OGの先輩方ならびに師範・監督・コーチの先生方のご指導・ご鞭撻の賜物です。皆様の厚いご支援に心から感謝申し上げます。

 社会一般にもいえることですが、パンデミックという異常な事態が3年も続けば、当然ながら、伝統・情報の共有・継承の面や縦の繋がりの面においてもさまざまな課題が生じうるのも事実です。柔道部もその例外ではありません。この度始動したチーム都倉の代では、部員全員がコロナ禍で入部し、塾柔道部で伝統としてきた各種行事や活動を経験していない学生が上級生になります。このような状況では、慶應柔道の根底にある精神と伝統が今後とも確実に受け継がれていくためには、OB・OGの先輩方の継続的なご指導・ご支援がより一層重要だと考えます。どうか、これからも皆様のお力添えをいただきたく、お願い申し上げます。

 結びになりますが、この度卒業を迎える部員諸君、卒業おめでとうございます。4年間の厳しい稽古、本当にご苦労さまでした。部活動と学業との両立を通じて、また、母校・慶應義塾の栄誉を担っての試合を通じて、慶應柔道の良き伝統を共有し、その上で生涯の仲間を得ることができたのではないかと信じています。卒業後は、ぜひ「柔友」になって後世の指導・支援をお願いしたいと思います。今後の益々の活躍を祈念しつつ、再び道場でお会いできる日を楽しみにしています。

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