不安に押し潰されそうになりながら初めて體育會生として日吉道場の畳を踏んだあの日から4年の月日が経ちました。思い返すと、喜んだり悔しがったり笑ったり泣いたり、この4年間でかけがいのない濃い経験をしてきました。

大学1年生の頃は、自分には勝利を渇望する気持ち、自己研鑽の心構えが欠けていました。経験が浅いという自分の立場に甘え、自分に言い訳し、楽な道を選んでいました。今考えると、大学から柔道を始めた先輩や重量級を圧倒するほどに努力を重ねている軽量級の姿を見て、恵まれた体格や今までの環境に感謝し、自分自身を成長させるきっかけにするべきであり、そのチャンスは周りに転がっていました。しかしそのチャンスを見て見ぬ振りをし、早慶戦の控え選手に入れたことを喜んで満足していた現状がありました。

そんな自分にとって大きな転機となったのは、2年生の頃の早慶戦でした。重量級の先輩方に指導していただいたことや、主力の先輩方が引退したことがきっかけで、20番手として出場することが叶いました。自分に順番が回ってきた時、プレッシャーで押しつぶされそうになり、体が固まった事を覚えています。しかし体格が劣る相手に苦戦を強いられながらもどうにか勝利することができ、早慶戦2連覇の偉業を達成することができました。勝利することで部へ貢献する事、自分で考えていたより遥かに多くに人が支えてくださっていた事、そして未熟な自分に対する不甲斐なさなど非常に多くのことをあの1日で感じ、学べた気がします。

その日から2年がたち、部内戦で後輩に負け涙を流した日や、怪我で思うように練習できなかった時期、運良く勝ち取ることができた個人全日本学生への出場など、様々な経験をして、多くの思いを背負って、もう一度講道館のあの畳の上に立ちました。早稲田が圧倒的に有利な状況で自分に順番が回ってきました。その時、2年前には感じることができなかった覚悟と責任を強く感じ、自分を鼓舞することができました。試合中に肩が外れ、強い痛みを感じた際もこの4年間の経験で生まれた覚悟や體育會柔道部員としての責任感というものを忘れる瞬間はありませんでした。喉を枯らしながら応援してくださっている先輩方、先生方の姿、また部員たちの鼓舞する姿が励みとなり、全力を尽くし試合に挑みました。

結果としては不甲斐ない形で終わってしまった人生最後の早慶戦でしたが、自分の人生においてかけがいのない、忘れることのない経験となりました。

柔道選手としてのキャリアはこれで終わりとなりますが、与えていただいた以上のものを體育會柔道部に還元できるように、より一層精進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。

最後になりますが、これまでお世話になった全ての皆様に重ねて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

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