バルセロナ・オリンピック柔道71キロ級金メダリスト、古賀稔彦さんの突然の訃報
に接し、大変に驚きました。心からお悔やみを申し上げます。

 平成2年の全日本柔道選手権大会決勝で、同い年で当時の最重量級世界王者、小川直
也選手に挑んだ姿を忘れることができません。現役時代から、慶應義塾三田綱町柔道場
で、当時の体育会柔道部員たちがご指導を頂きました。ご子息、颯人さんが生まれてか
らは、ようやく歩けるようになった頃に既に柔道着を着せ、朝飛道場に連れて行き、容
赦なく投げ、その様子を見た朝飛大師範が心配するほど指導熱心だったという話を聞き
ました。

 その颯人さんが日本体育大学柔道部主将として輝かしい成績を収め、立派な柔道家と
なり、昨年、慶應義塾高等学校の教諭に就任し、柔道部の指導にあたって頂いておりま
す。

 颯人先生には、お父上の急逝でお悲しみは尽きないと思いますが、「平成の三四郎」
から受け継いだ技と勝負師魂をぜひ、塾高生はじめ、柔道を志す多くの青年たちにご伝
授頂きたいものです。

 そして、その様子を稔彦さんには天上から見守って頂けるものと思います。
 あの芸術的な背負い投げが見られないのは寂しい限りです。レジェンドの早すぎるご
逝去に際し、謹んでご冥福をお祈りいたします。

合掌。 

                                                                           三田柔友会会長        森 吉平