親元を離れ、はや1年が経とうとしています。こちらの生活にも慣れ、住めば都ということわざに激しく共感している今日この頃です。そこで今回は、そんなすっかりシティーボーイになってしまった私の、寮に帰宅してから就寝までの様子を皆様にお伝えしようと思います。
「ただいまー」
という言葉を最後に言ったのはいつだろう。私はこの言葉を飲み込んで玄関のドアを開ける。靴の散乱した玄関。寮民20人分の靴が出ているのだから無理もない。僕は自分の靴を片付け、リビングに向かう。そこでは、一足先に帰宅した先輩たちがドラマ「仁」の録画を見ていた。私はソファーに倒れ込むように座り、みんなと一緒に仁を鑑賞する。
おっと、もうこんな時間だ。そろそろ晩ご飯にしよう。この一年で自炊の腕はかなり上がった。栄養面を考え、チャチャッとおかずを作る。そこに同期の佐藤あつき(通称あったむ)が一口だけとねだりにきた。まったくあざといやつだ。仕方なくあったむにアーンして、それから私はごはんをよそおうとMy炊飯器のふたを開ける。
(・・・!!)
炊き忘れだと!?このジョークは笑えない。あっそうだ、あったむに分けて貰おう。持ちつ持たれつがこの共同生活のいいところだ。
食事をすませ、皿を洗う。居間で流れるバラエティーと、それを見て爆笑する寮民を尻目に私は4号室の自分のベッドに向かう。寝床で寝転び、自分のPCで課題をすませ、YouTubeで音楽を聴いたり、動画を見たりして時間を過ごす。すると突然、外からの視線を遮るベッドのカーテンがシャッとひらく。うわ、山根大輝だ。どうせお風呂に入ろうとか言いにきたに違いない。
「ねえ・・。お風呂!」
「・・・(やっぱり)・・・。」私は無言で山根を見つめる。
「・・・・・ねえって!!!」
「わかったから!(笑)」
基本的に山根は私に対してまず折れることはない。故にここは承諾の旨を伝え、とっとと退散してもらうとしよう。
「はいはい、すぐ行くから」
その言葉を聞き、山根はいそいそと浴室に向かう。私もゆっくりと体を起こし、お風呂場へ向かう。その途中、居間で「ダンソン!フィーザキー!!」と叫んでいる中沢先輩もついでにニーブラしてお風呂に誘う。こんな調子で浴場でもふざけ合っていると、気づけば1時間が過ぎていることもある。
私はすっかりのぼせリビングに戻ると、そこでは本日2回目の仁が流れていた。自分の部屋の冷蔵庫から、アイスを手にとりソファーに腰掛けて頬張る。まさに至福のひと時だ。しかし、隣に座っていた生田先輩が私の二の腕を掴み、筋肉の割れ目に思いっきり親指を突き立ててその時間を邪魔してくる。「痛い痛い痛い!笑」。それを見た山根が生田先輩のまねをしだす。膝裏の筋の間に思いっきり親指をぶっ刺してきた。「だから何なの、ほんとに!笑」。すると生田先輩が「いや、俺はただやりたいだけだから」。そのいいから黙ってやらせろスタンス、全くなんて豪快な言い分なんだ。おい山根、うんうんじゃねえ。暫くしてそんなくだりにも飽き、疲れてくると各々部屋へ戻っていく。自分もそろそろ寝る時間だ。同期の大畠はリビングの床でだらしなく眠っているが、私はしっかり自分のベッドで眠るとしよう。
部屋に戻り、自分のベッドに向かう。私の寝床は二段ベッドの上だ。下では寝言師、菅原先輩がまた何か言っている。「・・あの・・・私としては・・今後とも・で・・」。寝言をいうということは眠りが浅い証拠。私は先輩を起こさないように、静かに上に登り床に就く。ああ、明日も朝練かぁ。
すると突然、下で寝ている菅原先輩が大きな声で、
「観・葉・植・物!!!」。
この奇跡のような寝言の件は明日、本人に直接報告するとしよう。
おやすみなさい、菅原先輩。
上京してもう1年が経ちました。僕はこの通りなんとか元気にやっています。