maru040118こんにちは、バルセロナの丸山です。

お元気ですか。バルセロナの冬はとてもマイルドです。
今日の昼間の気温は16℃もあり、日本の春並みの陽気なので、日本から苦労して持ってきたコートが活躍する機会がありません。

もっとも、バレンシア出身の友人に言わせると、バルセロナの冬は凍えるほど寒いそうで、彼はいつも重たいコートを羽織って寒い寒いと文句を言っています。そんな彼を見ていると、彼はニューヨーク、ロンドンでは働けないだろうなあと思いつつも、バレンシアで古本屋の親父でもしながらまったりと仙人のような生活をしてみたいという誘惑に駆られます。天気って、大切ですからね。

さて、今回はPre-Term、1st-Termの勉強と、その合間に行った旅行の話しを中心に近況をお知らせいたします。

(Pre-Term)
9月、大学でビジネスに関する授業をとっていない人や、前職が医者や教師などビジネス以外の分野からきた学生向けの事前講習がありました。私は大学で経済/経営を履修しましたが、英語での授業についていけるか非常に心配だったので以下の3科目を受講しました。

-Financial Accounting
会計の授業です。簿記2級くらいの知識を持っていればかなり対応できます。日商簿記と違ってキャッシュ・フローを重視していました。

-Business Law
法律の授業です。企業の意思決定にかかわるシステム(総会、取締役会)や、特許にかかわる法律など、法人運営に関する基本的な内容を扱っていました。細かい差異はありますが、概して言えば日本のそれと同じでした。

-Statistics(統計)
分散・標準偏差など、統計の基本的な部分を勉強しました。
ビジネスの確率を検証するうえで大切な手法なのでしょうが、私にとって馴染みのない概念だったので非常に苦労しました。履修登録したときは前座くらいの軽い気分でしたが、その後、試験の結果次第では追試、あるいは退学の可能性もあるシステムと判明。がんばって勉強しました。

(1st-Term)
9月末から12月中旬までが1st-Termでした。Pre-Termと違って成績がしっかりついてくるので、クラスの雰囲気が真剣モードに。とはいえ、そこは我が校ESADE。真剣ながらも学生間の雰囲気はとても協調的で、お互いに協力し合いながら勉強しています。

これは、バルセロナという土地を好んで集まってくる学生の友好的な気質もさることながら、学校が協調性を重視する方針、具体的には、成績が相対評価でなく絶対評価でつき、また、グループワークの成果が成績に大きく反映されるシステムを採っているためです。

残念ながら今の私はこの恩恵を享受するいっぽうで、グループのメンバーやクラスメートに助けてもらってばかりです。私がクラスに貢献できる日が来ることを期待してやみません。

なお、私がいるグループのメンバーは以下の6人です。

① マッツ(Mats)
柔術マスターのエストニア人で、5ヶ国語を流暢にあやつる彼の異名はスーパー・マッツ。年末年始は、彼の故郷エストニアのタルトゥにお邪魔させてもらい、サウナで一杯やりつつ新年を祝ってきました。

② カルロス(Carlos)
地元バルセロナ出身。学校での見た目は固いカルロス、話すとやっぱり固いのですが、勉強を離れると飲むわ踊るわ愉快な男に変身します。クリスマスは、夕食に招待してもらいました。

③ フアン(Juan)
私と同い年ながら、仕事の進め方や懐の深さで段違いのレベルを見せるウルグアイ人の彼が大切にするものは、美人の嫁さんとウルグアイから持参したマテ茶セット。

④ ラモン(Ramon)
マーケティングのお題目を相談するとき、開口一番「ビール!」と叫んだコスタ・リカ出身の彼を典型的なラテン・アメリカの人間と評することに私はためらいを一切感じません。

⑤ エマ(Emma)
授業での難しい英語の表現や、テレビドラマ「フレンズ」の不可解なオチを私に説明してくれるニューヨーク出身の彼女は、マドリッドで英語の先生をした経験がある教え上手。私は師と仰いでやみません。

⑥ ネイサン(Nathan)
デトロイト出身。彼の口癖はサケとサムライで、映画「ラスト・サムライ」のネーミングにはたいそうご満悦のようですが、小雪扮するヒロインの名前が「Taka」とわかったときには少々考え込んでいました。

さて、このメンバーに囲まれつつ1st-Termで履修した科目は以下7科目と語学(スペイン語)です。1年生のうちは必修科目だけなので選択の余地はありません。

-Introduction to General Management & Strategy
戦略の初歩です。ケースを読んで、その後にどのような行動をとるべきか、6,7人のグループで考えるというものです。ちなみに最初のお題目は、砂漠でのサバイバル。大筋は以下の内容です。小ネタにどうぞ。

∇6月半ばに飛行機で旅行中、エンジン火災により砂漠に不時着(10:00am)。
∇パイロットは死亡したが、乗客6人(ただし他人同士)はみな無事だった。
∇パイロットは墜落前に現在位置を管制に伝えることはできなかった。
∇残されたパイロット用地図から、現在位置が規定のコースから65マイル離れており、北東に操業中の鉱山があることがわかった(距離不明)。
∇服装は半袖半ズボン、日が出ている時間が長い時期で、日中の気温は43℃まで上がるらしい。
∇飛行機のエンジンは全焼。フレームに火が回るのは時間の問題。
∇フレームが燃える前に、以下15種のアイテムを機内から取り出すことができた。

①懐中電灯、②ジャックナイフ、③該当地区が載る市販の地図(上記地図とは別)、④プラスチックレインコート、⑤コンパス、⑥救急箱、⑦45口径ピストル(弾丸6発)、⑧パラシュート(赤白)、⑨塩の錠剤(1000錠)、⑩1?ペットボトル水(人数分)、⑪「砂漠の食用動物」図鑑、⑫サングラス(人数分)、⑬1?瓶ウォッカ、⑭ベージュのコート(人数分)、⑮化粧用の手鏡

ここで問題です。
1.生き残った乗客はグループとしてどのような行動をとるべきか?
2.前項の行動をとるにあたり、上記15種のアイテムの優先順位は?

こんな問題を、各国から集まった30才前後のいい大人が話し合うのは少々滑稽ですが、物事を論理的に進める練習として適当ケースだそうです。

-Managerial Accounting
-Financial Analysis,
会計・財務系の科目です。Accountingでは各種原価計算を中心に、FinanceではB/S、PLを用いた過去・現在・将来にわたっての財務分析を勉強しました。数字が多分に出てくるので日本人が強い科目といわれますが、残念ながらこの傾向は私にはあてはまらず、非常に苦戦しました。

-Marketing Management
マーケティングです。この授業も講義と実践から成り立っており、講義で理論をひととおり説明した後にチームごとに業種を1つ割り当て、半年かけてマーケティングプランを作成していくことになっています。

私のチームはビールに挑戦。かつて、会社の旅行でビールの利き酒をやり、みごと全問不正解をした苦い経験を持つ私ですが、ここで一念発起して素晴らしいプランを作成し、過去の思い出を払拭したいところです。

なお、マーケティングの先生と先ほどのファイナンスの先生は92年のバルセロナオリンピックでそれぞれ専門分野のディレクターでした。この2人やFCバルセロナ会長のラポルタ氏をはじめ、多くのESADE関係者がバルセロナをはじめカタルーニャで活躍しているそうです。

以上、さらりと学校じまん。

-Applied Quantitative Model
適訳が思いつきませんでしたが、Simulation Model、Liner Programme、Project managementなど確率やオペレーションに関する知識を扱うもので、エンジニア出身の学生が能力を発揮する授業でした。

-Geopolitics, society and culture
-Environmental Issue
ともに倫理系の科目です。関心のある科目なのですが、毎回数十ページのリーディングを予習することが必須だったので、苦痛のともなう科目でした。

Environmentalで扱うのは、企業活動と環境問題で、たとえば、80年代、デュポンが将来のある分野としてフロンビジネスに巨額の投資をしたものの、開発したフロンがオゾン破壊の原因かもしれないと問題が提起されたとき、あなたがデュポンのCEOならどうするか、などです。

Geopoliticsは、Economy・Society・Cultureの3つの観点から世界の変化を分析して理解するというもので、たとえば、情報通信技術の発達に伴う経済活動がもたらした国内・多国間における貧富の拡大、その現象に対する社会の動きなどです。日本でもおなじみのドラッカーが登場する類の分野です。

以上、いちおうMBA留学しているので授業の話を紹介させてもらいましたが、ここから先は日常の話をさせていただきます。

(ワイン)
スペインはワインの生産国として有名で、なかでもメジャーなのがRioja(リオハ)と地元カタルーニャのTORRE