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失礼いたします。2024年度卒業の南雲宥位です。まず初めに、今までご指導ご鞭撻いただきました、先生方、先輩方、本当にありがとうございました。私は、普通部から数えて11年間という長い間塾柔道部にお世話になりました。柔道部を引退して数ヶ月経ち、ここでの日々は、良い時も悪い時もあれど、とても濃密な時間だったと改めて感じています。

私が慶應義塾を志したそもそもの理由は、勉強と柔道を程よく両立できそうな環境で、それ以降受験をせずに済むから、という単純で後ろ向きな理由です。柔道は小学校から続けていましたが、実績もなく、高校以降は柔道を続ける気もありませんでした。そんな私が塾柔道部の魅力に取り憑かれた出来事が、早慶戦を観戦したことです。二十対二十という、今まで聞いたことのない規模で、慶應と早稲田の両校がプライドをかけて戦う、まさに魂のぶつかり合う試合に圧倒され、感動したのを今も鮮明に覚えています。「早慶戦の畳に上がりたい」その一心で、高校、そして大学でも柔道を続けることを決意し、覚悟をもって塾高柔道部の門を叩きました。

しかしその覚悟とは裏腹に、私は高校大学共に、全くと言っていいほど結果を残すことができませんでした。高校では試合で負けてばかり。大学では、怪我をしては離脱を繰り返し、試合にすらほとんど出場できませんでした。そして、全く活躍できないもどかしさを感じていたところで、膝の大怪我を負い、約1年もの離脱が決まってしまった時には、柔道部内での自分の存在価値を見出せず、柔道から離れることも考えました。そんな時に私を柔道部に繋ぎ止めてくれたのが、塾柔道部の「人」でした。こんな自分に対しても、ずっと変わらず優しく接し、時に厳しく指導してくださる先生方、先輩方。いつも沢山イジってくるけど、実は優しくて頼りになる同期や後輩。これほどまでに温かく、繋がりの深い組織は他に中々見つからないのではないかと強く感じました。
そして、怪我で離脱をしていたタイミングで、對馬先輩からお声がけいただいたのが、母校の普通部柔道部のコーチの依頼でした。長い間先輩方や仲間にお世話になった分、下の世代に還元したい。そして、この素晴らしい組織を次の世代に繋げていきたい。その思いから、最後の1年間はできる限り普通部に足を運び、普通部生と汗を流しました。自分本位な性格で他人のことに興味がなかった私が、他人のために何かしたい、動きたいと思うようになった。塾柔道部で沢山の愛をいただいたからこそ、私は人間的に一つ成長することができたのではないかと思います。

末筆にあたり、改めまして11年間という長い間、本当にありがとうございました。勝負の世界で結果を残すことができなかった悔しさが消えることはありませんが、塾柔道部での経験は私の宝物です。後輩たちが悔いなく柔道部生活を終えられるよう微力ではありますが、できる限り塾柔道部に尽力し続けて参りたいと思います。