【第63回早慶対抗柔道戦 観戦記】 西山祐司(平成23年卒)
平成23年卒の西山祐司です。今回は僭越ながら前年度主将として、私が観戦記を書かせて頂きました。
読みにくい点が多々あるとは思いますが、何卒宜しくお願い申し上げます。
平成23年11月20日、第63回早慶対抗柔道戦が早稲田大学柔道場にて開催された。
敵地にも関わらず慶應側の応援団は人数で早稲田側を遥かに凌駕しており、今年も意気込みは十分であった。
今年は勝ち抜き戦で両校均衡した試合が予想された。早慶戦独特の緊張感が漂う中、開会式を経て熱戦の火ぶたが切って落とされた。
慶應義塾大学 ― 早稲田大学
井上凡◯払腰 浅井駿
慶應の先鋒は3年生の井上。医学部でありながら文武両道を実践し、今回の尼崎での全日本体重別団体戦でも格上の福岡大学から
勝利をあげた選手である。井上は相手を捕まえると早々に払腰で一本勝ち。先鋒としてチームに勢いを与える勝利となった。
井上凡 引き分け 山田将弘
井上の持ち味は前に出る柔道と粘り強さであるが、けんか四つの相手に対して果敢に攻めるも決定的な攻め手を欠き、そのまま引き分け。
来年は4年生となり最上級生になる井上。勉強との両立は大変ではあるが、
後輩の医学部生の一つの目標となるように来年度もチームを牽引して欲しい。
高辻大地○大外刈 西岡慎太郎
高辻は昨年からレギュラーとして試合に出場している2年生。その大きな身体とパワーを持ち味にしている。相手の奥襟をとると、
大きな体格を活かし、そのまま大外刈で一本勝ち。
高辻大地○合わせ技 高山尚勝
続く試合も大きな体格を活かし、奥襟をとれば終始自分のペースで攻め大外刈で一本勝ち。
高辻大地 背負投◯片岡雅樹
3人目の相手は片岡。チームの思いとしてはこの試合は何としてもとって欲しかったのだが、相手の背負投を正面から受けてしまい一本負け。
今年になり、豪快に投げられて負けを重ねる試合が多くなった高辻だが、彼の力はチームの躍進には不可欠である。
反省をすると共に落ち込まずに、自信をもって試合に臨み、活躍する姿を来年は見たい。
伊藤峻 内股◯片岡雅樹
伊藤は慶應義塾高校出身の1年生。身体は小さいものの、背負投等その身体を活かした柔道をする。自分よりも体格の大きな相手に対して
素早い動きで対応するが、がっちり組まれると内股で投げられ一本負け。持ち味を出し切れずに悔やまれる部分はあったと思うが、
今後の成長に期待したい。
藤塚捷 引き分け 片岡雅樹
続く藤塚は城北高校出身の医学部の1年生。大学での試合経験は少ないが、軽量級では力のある選手である。体格差はあるものの
彼の得意な小外刈や小内刈、時には内股といった技で対抗し、相手を豪快に投げて試合会場を沸かせたが場外での技となる。
試合としてはそのまま引き分けに終わってしまったものの、医学部の先輩である井上のように今後選手としても活躍できるように頑張って欲しい。
西口太朗◯横四方固 福井彬
4年生最後の試合となった西口は1年生の時からレギュラーとしてチームを牽引してきた選手。体落しで相手を転ばすと、得意の寝技に持ち込み
横四方固めで一本勝ち。最近では寝技での勝負を得意とする者が少ない中、今まで積み重ねた技術を発揮した試合であった。
西口太朗◯合わせ技 キアラシ・ダ―ウッド
続く相手はキアラシ。大きな体格を活かし巻き込みを得意とする柔道をしてくる。講道館の紅白試合ではうちの部員も何人か抜かれており、
ここでなんとしても止めたい相手である。時折奥襟をとられるものの、持ち前の組み手のうまさで対抗し、背負投で相手から技ありを重ね、
合わせ技の一本勝ち。地道に磨いてきた技術を活かした試合が続く。
西口太朗 縦四方固○星野映
続く相手は2年生の星野。寝技を仕掛けた際に逆に縦四方固で抑えられ一本負けを喫したが、
最後の早慶戦は十分に役割を果たした試合であった。AO入試で入ってきた西口だが、試合になかなか勝てずレギュラーを外される等、
順風満帆な4年間であったという訳ではない。しかしそれにもめげる事無く継続してきた地道な練習や自主練、副将としてチームを牽引してきたこと等
4年間の集大成が遺憾なく発揮された試合であった。太朗、4年間おつかれさま。
瀬詰晃弘○腕ひしぎ十字固 星野映
チーム高松(高松高校出身)の1年生の瀬詰は、大きな身体を活かした柔道し、どこか貫禄のある一年生である。普段見せない寝技を仕掛けたところ
うまく腕ひしぎ十字固が決まり一本勝ち。緊迫した試合が続く中で、チーム全員の雰囲気も和みチームに明るいムードが漂う。
瀬詰晃弘○払腰 上田卓
続く試合では前に出てがっちり組むと勢いのままに大外刈で一本勝ち。さらにチームを勢い付かせる。
瀬詰晃弘 合わせ技○小林将大
続く相手は小林。一つの山場として見ていた相手である。試合開始後まもなく内股で技ありをとられ、そのまま抑えこまれ一本負け。
今回で引退となったチーム高松のリーダーの利國のように将来チームを牽引する選手に成長して欲しい。
小林昴弘 腕ひしぎ十字固○小林将大
小林は城北高校出身の理工学部1年生。先日の尼崎で行われた全日本学生体重別団体戦にも出場した選手である。
背負投を掛けにいった際に逆に腕ひしぎ十字固を決められ一本負け。試合経験を重ねる中で元気の良い柔道をして成長していって欲しい。
吉武壮祐○内股 小林将大
吉武は修猷館高校出身の商学部の1年生。団体戦の試合にも出場経験のある今後が楽しみな選手である。
十分に良い組み手になった際に掛けた大内刈からの内股が決まり一本勝ち。チームとしてもこの山場を乗り越えたことで再び活気づいた。
吉武壮祐○合わせ技 川端一平
勢いのままに続く試合も払腰で技ありをとり、抑え込んで一本勝ち。
吉武壮祐○払腰・有効 野口雄飛
続く試合も払腰で有効を取りそのまま優勢勝ち。
吉武壮祐 隅返○五嶋広道
3人を抜き、体力的にもきつい場面で勝負にいった所、隅返で返されて一本負けを喫してしまう。序盤でリードしたい慶應側にとって、
吉武は大きな役割を果たした。1年生でのこのような試合を経験できたことを成長の糧にして今後も成長していって欲しい。
檜垣卓志 支え釣り込み足○五嶋広道
先にポイントを先制され後が無くなっていった檜垣は勝負に出ようとしたところ、支え釣り込み足で技ありをとられ、そのまま一本負け。
来年は最上級生となり、副将としてチームを牽引していくと共に体育会本部の主幹として外からも柔道部を盛り上げていって欲しい。
梅田貴志○内股 五嶋広道
2人抜かれて悪くなる流れを断ち切りたい場面で出てきたのは、慶應義塾高校出身の梅田。開始直後に相手の奥襟を掴むと内股で一本勝ち。
流れを断ち切り、慶應に再び勢いをもたらす役割を果たす。
梅田貴志 出足払○松井誠司
続く相手は松井。団体戦でも名を連ねる選手で何としても止めたい相手。持ち味の勢いのある攻めを見せるが、
一瞬の隙にうまく出足払が決まり一本負け。今後は選手として実力をつけると共に大学に進学してくる塾高生をまとめあげる役割を果たして欲しい。
鈴木新○払腰 松井誠
鈴木新は相手が前に出てきた所にうまく一本背負いで技ありを先取すると終了間際にも払腰で一本勝ちをあげる。
鈴木新 背負投○村山拓也
続く相手は早稲田主将の村山。今回の早慶戦で勝利をあげるには、誰が村山を止めるかということが大きな鍵となっていた。
開始直後、新は組みにいったところに背負投で投げられ一本負けに喫する。新は実力はあるもののケガに苦しんだ4年間であった。
それにもめげる事無く、控えの部員を纏めチームを支え続けてきた彼の積み重ねを出す事が出来た試合だったのではないだろうか。
新、4年間おつかれさま。
鎌田一輝 出足払○村山拓也
鎌田は1年生ながらもレギュラーとして活躍する選手。得意の寝技を見せる場面も会ったが、背中を持たれ下がった所に
うまく小外刈りを合わされ一本負け。止めてやろうという思いが強かっただけに、今回の悔しさをこれからの糧にして今後も活躍して欲しい。
高橋陽二郎 反則勝○村山拓也
続くは慶應義塾高校出身の高橋。両者共に技の数が少ないのだが力で押してくる村山に下がってしまう。
下がった所に村山もうまく背負い投げを掛けてくるため、余計に印象が悪くなり高橋は指導を重ねてしまい、最後は反則負けとなった。
いよいよ高橋も来年から3年生となる、陰に隠れがちだが力がある選手であるのでもっと欲をもって選手を目指して欲しい。
大前知也 内股○村山拓也
大前は疲れてきた村山に対し動きながら小内、一本背負いと積極的に技をかけるが、最後は内股で一本負け。
来年は最上級生としてだけではなく、主将としてもチームを牽引していかなければならない。
試合後に泣いていた大前だが、今回の悔しさを忘れず来年雪辱を晴らして欲しい。
山本俊介 合わせ技○村山拓也
なかなか勢いが止まらない村山に挑むは山本。なんとか引き分けにでも持ち込みたいところ